4コマ漫画ナツ100に参加してみる (2) 四コマこてん古典 8作品
古典といってもえらく古い作品から、まぁ微妙に古いかな、くらいの作品までである。
タイトルの後ろに年を上げているが、連載開始年だったり単行本1巻発売年だったりなので、まぁ参考程度に見て欲しい。
長谷川町子 いじわるばあさん 1966年
長谷川町子作品は、今は誤解されているかもしれないが、別にほのぼのしているだけの作品のみではない。そもそも本来の原作、たとえば「サザエさん」なら「サザエさん」の原作を読んだことがない人というのは多いのではないだろうか。実際に読んでみると「サザエさん」も、カツオの悪知恵をはじめとして決してほのぼのしたというだけの作品ではないのだが、この「いじわるばあさん」に至っては、すでに主人公が「いじわるなばあさん」なわけで、基本的にほのぼのしつつもブラックなジョークで構成されている。特にアニメの「サザエさん」しか知らない人には一読をお勧めしたい。
- 作者: 長谷川町子
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 1995/10/01
- メディア: 文庫
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セツコ・山田 ゴルゴさんち 1983年
作者は「あの」さいとう・たかをの奥さん。自らの家族を描いた作品で、ゴルゴ13のペーパーバック版などに連載されている。今もなのだろうか?連載時タイトルは「Sさん一家」だったり「ゴルゴさんち」だったり。なお、作者は現在は猫漫画を中心に活動しており、さらに娘さんと共に同人活動も行っている。単行本になっていない分の「Sさん一家」に関しては、同人にて纏めている模様。
- 作者: セツコ山田
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1983/07
- メディア: 単行本
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荒井清和 べーしっ君 1984年
個人的には、「MSXべーしっ君」が欲しかったという記憶がある。……いきなり何のことか分からないだろうけれど。この作品は、当時のアスキー第二統括編集部系列、つまりログイン、ファミコン通信、MSXマガジンなどの雑誌に掲載されていた。実はMSX関連の雑誌はMSX-FAN派であったが、「べーしっ君」だけはよく立ち読みしたものである。基本は巨人の星のパロディでありながら、それをマイコン(まだパソコンなどという呼び方は基本的にしてなかったくらいの時代)関連へ落とし込んでいくという面白さ。あとは独特の擬音というか驚き方というか。これらがあいまって妙な雰囲気を生んでいたものだ。べーしっ君擬音集なんてのもあるから参考にするといいと思う。
- 作者: 荒井清和
- 出版社/メーカー: アスキー
- 発売日: 1992/09
- メディア: 単行本
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新井理恵 × ―ペケ― 1990年
不条理系だが絵が綺麗(可愛い、ではない。どちらかというと、80年代後半少女マンガ系の「綺麗」といえよう)。絵としては投身が高いままで四コマ漫画的ディフォルメを行わず、普通のストーリー漫画的な絵を持ってくるという路線である。この路線はある意味で喜国雅彦あたりが始めたのではないかと思うが(喜国雅彦はどっちかってと少年漫画とか青年漫画の絵の方向性だが)、それを少女マンガ的な方向に持ち込んだのは新井理恵ではないかなと思う。喜国雅彦はネタとしては下品な方向にいっているが、新井理恵はシモネタを織り込みながらも、女性ウケする一定の上品さを保ちながら、かつきっちり不条理さを出している。
×(ペケ) (1) (別コミフラワーコミックス・スペシャル)
- 作者: 新井理恵
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1992/01
- メディア: コミック
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青木光恵 小梅ちゃんが行く!! 1993年
「可愛い絵」の四コマというジャンルは、この頃から本格的に展開されてきた。後の「萌四コマ」に繋がる路線の萌芽ではないかと思う。ただし、直接的な「萌え四コマ」への継承性については後で述べる「ももいろシスターズ」に譲る。この時代の青木光恵作品は、可愛いだけでなくどちらかというと従来の四コマ漫画の路線を受け継いだ形になっていたと思う。青木光恵はどちらかというと、アメリカン・ピンナップに出てくるような女性を日本漫画的文法にディフォルメして落とし込んだような画風が特徴的ではあるが、「小梅ちゃんが行く!!」においてはどちらかというとそういった路線は控えめになっている。が、癖の強いキャラクター、関西ノリなどの一面は極めて強くこの作品に表れている。セクシー系な路線は同時期の「若草学園高等部」に、可愛い女の子系な路線は「ささみストリート」に現れている。出来れば三タイトルを全て読みたいが、あえて1タイトルのみ薦めるのであれば「小梅ちゃんが行く!!」を薦めたい。
- 作者: 青木光恵
- 出版社/メーカー: 竹書房
- 発売日: 1993/09/04
- メディア: コミック
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ももせたまみ ももいろシスターズ 1993年
青木光恵と同時期に、現在の「萌四コマ」へ繋がるひとつの作品を作り上げた。テレビアニメ化もされた。青木光恵よりもより強く今の「萌四コマ」ブームを作り出すきっかけになったと思われる。同作者の「せんせいのお時間」も極めて重要なファクターであるといえる。連載はヤングアニマルであり、ネタとしては「可愛いシモネタ」「明るいシモネタ」が中心。女性作家らしく、シモネタといっても表現は極めてライト。でもギャグはおやじギャグ。可愛い顔して親父ギャグ。この作品は四コマでシチュエーション萌えをやる、というエポックメイキングを成し遂げたと考えている。たとえば主人公(の姉妹のうちの妹)の恋人は年下で女の子と見まごうばかりの可愛さであるとか、メインキャラの一人はその担任教師と(卒業後だが)結婚するとか(これがまたラブラブで)。深刻な話はひとつも無い。世界はきちんと年月が過ぎていき、当初高校生だったキャラは卒業し、大学へ入り、最終的には就職した。そのため、学園部分についてはキャラが代替わりしたが、代替わりしたキャラですら卒業を迎えるということになったりもする。
- 作者: ももせたまみ
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 1995/03
- メディア: コミック
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ひさの瑠珈 CONTINUE? 1995年
コミックゲーメスト連載。三軒茶屋 別館さんにて的確な解説をしているので、まずはそれを見てもらうのがいいと思う。
ゆるめの展開、可愛いキャラ。言うべきことは基本的に書かれてるような気がする。強いて言えば、フランクな教師との交流、一緒に遊んじゃうとか、というのもこの後の四コマでありがちな展開ではありますね。いわゆる「先生だけど友達」みたいな人がいる、という。先生だけど友達、って、何故かヒットする萌え四コマには結構ありがちじゃないですか?
- 作者: ひさの瑠珈
- 出版社/メーカー: 新声社
- 発売日: 1995/06
- メディア: コミック
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あずまきよひこ あずまんが大王 1999年
超有名作品。いわゆる「萌え四コマ」のフォーマットは「ももいろシスターズ」→「せんせいのお時間」を経て、この作品で確実に固まったと言える。ま、解説するまでもないかなとは思うのだけれど。読んだことが無い人はぜひ一読すると良いと思うよ。
それだけじゃちょっとアレなんで、個人的な萌えポイントについて書いておくと、やっぱりアレですよ。榊さんが噛み猫にかまれるところですよ。噛み猫にかまれる榊さんこそがもっとも可愛いのです。もう最高。それが昂じてこんな同人ゲームつくったことすらある。
あずまんが大王 (1) (Dengeki comics EX)
- 作者: あずまきよひこ
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2000/02
- メディア: コミック
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