COMIC1見本誌寄贈騒動

発端など

発端は、COMIC1準備会日記の2008年04月19日のエントリ「見本誌」である。発端から大まかな話に関してはいくつか扱ったBlogなどがあるのでそこを参考にすると良いと思う。
id:myrmecoleonCOMIC1 見本誌の明治大学図書館寄贈についてや、ペンギンコマンダーブログのCOMIC1になかまさんのサークルメカニカルペンギンとして参加するのですが・・・いろいろ雑感として by TAが良いと思う。

ざっくりとした流れ

COMIC1準備会日記「見本誌」で、代表が見本誌の明治大学への寄贈を発表
理由を「準備会事務所のスペース不足」と説明

さまざまなコミュニティで参加サークルなどによる反発
(一時的にCOMIC1準備会でメールサーバのパンク?)

COMIC1準備会日記で「児童ポルノ法の行方」エントリ
見本誌寄贈については触れず。

COMIC1準備会日記で「見本誌の件」エントリ
「混乱させたことについては謝罪するが、寄贈については変わりなく行う」と発表。理由について「児ポ法に単純所持と絵が入った場合」の事について触れる。

各種コミュニティでの反発広がる

COMIC1準備会日記で「見本誌寄贈の件」エントリ
「寄贈したくないサークルは見本誌提出袋の裏に×をつけて提出」「寄贈しないことを選択したサークルの見本誌は準備会、もしくは代表が保存」と発表。

今回のCOMIC1準備会の問題点まとめ

・「寄贈をする」という発表が申込み後である
→発表が突然であった、サークル参加者へのコンセンサスが得られていなかった。そもそも「見本誌」とは何のためのものであるのか?という事についてコンセンサスが取れていない。「寄贈」されること事態が、多くのサークル参加者から見れば予想外の見本誌の使用方法であった。
・連絡方法がBlogのみであった
→Blogのみで突然発表された。公式サイトには記述がなかった。個別連絡もなかった。ただし、この点は後に一応解消(寄贈しないことを選択することができ、またその旨については当日に、サークルへペーパーで配られた)
・寄贈する、という理由が二転し、かつ不明瞭
→当初は「準備会事務所のスペース」を理由とし、後に「児ポ法対策である」旨を匂わせる。正確に「何のために」という理由は、結局不明瞭なままで現在まで来ている
・寄贈先が民間
明治大学といえど、寄贈先は民間である。何故国立国会図書館ではないのか。民間への寄贈では、保管の永続性が担保されない。
・意思表示方法
そもそも突然の方針転換であるのだから、「寄贈する」という意思に同意させるべきであり、「寄贈しない」という意思を示させるには、まだ周知徹底が足りないのではないか。つまり、寄贈する意思がある場合のみ、見本誌提出袋に「○」をつけさせるような対応が妥当だったのではないか。

サークル側の問題点

サークル側は、それぞれ個別の事情が多くあるので、あまり統一して問題点を挙げるわけにはいかない。一応、今回の騒動の中で多く見られた観点について少し記述を試みるに留める。

・頒布=公開である(誰でも入手可能である)という観点が薄い
→そもそも頒布したものは、何処へ渡るのかは全く分からない。「誰が閲覧するか分からない」「仲間以外へ渡るのは不安」という観点で、今回の件に反対している頒布者が多くみられたが、そもそもそれは頒布した以上、覚悟としてはちょっと弱いのではないかといわざるを得ない。
国立国会図書館への納本義務を果たしているサークルがあまりにも少ない*1
→前述の「公開であるという観点が薄い」という部分にも関わって来る問題ではあるが、国立国会図書館への納本は、基本的に国内で出版を行った場合の義務である。

国立国会図書館法
第十一章 その他の者による出版物の納入
第二十五条 前二条に規定する者以外の者は、第二十四条第一項に規定する出版物を発行したときは、前二条の規定に該当する場合を除いて、文化財の蓄積及びその利用に資するため、発行の日から三十日以内に、最良版の完全なもの一部を国立国会図書館に納入しなければならない。但し、発行者がその出版物を国立国会図書館に寄贈若しくは遺贈したとき、又は館長が特別の事由があると認めたときは、この限りでない。

これは、同人誌であろうが、それどころかパンフレットの類であろうが、本来は適用されるものである。「同人誌であるから国会図書館へ納本しない」という事は、本来できない。国会図書館法がある以上、本来は頒布したものは国会図書館に納本されているべきものであるから、頒布したものが「誰が閲覧するか分からない」という理由で拒否するのはあまり好ましくない。

個人的な雑感

まず、今回のもっとも大きな手落ちは準備会にある。申込みが終わってから、突然の方針転換を行うのであれば、もっと周知徹底を行うべきであるからだ。少なくとも、サークル参加者が当日になってから渡された紙を見て、同意するか同意しないかを考えるにはあまりに時間が足りない。最低限、デフォルトの選択肢を「寄贈に同意」とするのであれば、当日までに郵送などによるお知らせを行うべきだし(Blogでの周知で足りると考えるには、あまりにもネットワークのリテラシーは及んでいないと言える。ネットワークを日常使っていると忘れがちだが、まだネットなんてめったに見ない、という人は多いのだ)、そうでないのであれば、当日の同意はデフォルトで「寄贈しない」であり、○をつけた人のみが「寄贈に同意する」とするべきである。

また、あまりにも情報が提示されていないというのも、デフォルトを「寄贈しない」とするべきだという根拠の一つである。順法への一歩として、国会図書館への納本を行う、という事であるならばまだ別だとは思うが(本来そもそも納本すべきものであるからだ)、今回の場合は寄贈されるのが「明治大学」とされている。私立の大学であり、またその納本の根拠も二転して曖昧、かつその納本されたものがどのような形で利用されるのか、という見通しすらもまったく公表されていない。本来、そのような状態で「寄贈するから同意してね」というのはあまりにも無理があるのではないだろうか。

まだ書きたい事はあるが、本日はここまでにしておきたい。
個人的には、COMIC1に限らず、コミックマーケット準備会を含めた多くの即売会で、国会図書館への納本を代行するべきであると考えている。その辺については後日。

*1:すんません、ウチもです……いろいろ考えるところもあったので、次回発行物以降は納本予定