ガレージキットに関する一般人とモデラーの意識の乖離

復刊.comのblogを読んでいたら、こんな記述があった。

まで私は、フィギィアの製作には、高額な投資が必要な金型成型を必要とするため、万単位のロットの製作が前提であると思っていました。もちろん、価格は数千円という高額な設定になります。しかし、これまでは大企業による流通が当然と考えられていた世界にも、ダウンサイジングの波は押し寄せているのだなーと実感いたしました。

http://blog.book-ing.co.jp/message/2005/07/post_2a40.html

いやいや、ちょっと待て。いわゆるそういう方面の「フィギュア」とかってのは、まず「少数の手作り生産」から始まり、商品価値を認められて大部数の流通が行われるようになった、んだ。

そもそもワンダーフェスティバル1984年にいわゆるガイナックスエヴァンゲリオン不思議の海のナディアなんかで有名だ)の前身であるところの「ゼネラルプロダクツ」によって始められ、現在は「チョコエッグ」や「ワールドタンクミュージアム」で有名な海洋堂が運営している。

(参考:ワンダーフェスティバル-Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AF%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%90%E3%83%AB

その歴史の中で、シリコンゴムで原型の型を取り、レジンキャスト(無発砲ウレタン樹脂)で複製する、という主なフィギュアの製作工程のスタイルは、少なくともここ20年程度変化はない。初期は歯科用レジンと歯科用シリコンゴムで作られていたものが、徐々に模型専用のものが開発され、それに置き換わっていき、使いやすくなっていったという経緯はある(さらに黎明期にいたっては、FRPなどに使うためのポリエステル樹脂で複製品を作っていた時期もある)が、そのスタイルは一貫してそう変わらないのだ。

つまり、フィギュアってのは、まず「ダウンサイジングされた」所からスタートし、それが少しずつシーンとして盛り上がっていき、それが花開いて、商品価値を認められ、大量生産品が作られるようになっていったんだ。「ダウンサイジングの波は押し寄せている」んじゃなくて、「アップサイジングの波が押し寄せてきた」(そして今また中国の人件費高騰によって波が引いていこうとしている)んだ。

なんかそこの所を間違えると、全然違う認識になるような気がする。
モデラーは、もう20年以上も前から、立体物を少数生産してそれを頒布するって言う事を行ってきたし、さらに版権もきちんと取得して販売を行えるようにした「当日版権」のシステムをも確立しえたんであって…それはその20年の積み重ねにあるんだから、「ダウンサイジングの波が押し寄せ」て来たとかいう感想を持たれると、えーっと、ちょっと拙いでしょう。そう思うんですが、どうですかね。